葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「甲州三坂水面」について説明する。
この浮世絵の御坂は、現在の山梨県笛吹市に位置する御坂が現在の呼び名である。御坂峠からみる河口湖と富士山は大変美しいものである。
中央には赤茶けた山肌をあらわにした夏の富士が描かれている。
またここから見る富士山の姿は、河口湖の湖面に反射して逆さに見えることから「逆さ富士」としても有名である。
この浮世絵の特徴は、ここでも波ひとつない湖面に富士の姿が映し出されている。
しかし、湖面に映し出されているのは雪をかぶった冬の富士山である。そこには現実ではありえないのであえて冬の富士山を表現した。
また、富士山の位置と水面に映る影の位置がずれている。
中央部にある浮島みたいなものは鵜ノ島(うのしま)だと思われる。
御坂峠は、山梨県南都留郡富士河口湖町と同県笛吹市御坂町にまたがる峠である。
鎌倉往還御坂路のルート上にある。御坂の名は日本武尊が東国遠征の際に越えたことに由来する。
この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。
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